よみがえりマイスターという番組を見ました

昨日、twitterでおもしろそうな番組の情報を見かけたのでその放送を観てみました。

その番組はNHK BSプレミアムで放送された『よみがえりマイスター「43歳町役場ランナー 復興への挑戦」』です。

高校時代の走りをよみがえらせ5月11日に行われる仙台国際ハーフマラソン大会を完走したい。そこには東日本大震災からの復興を願う特別な思いがあった。依頼人は津波で大きな被害を受けた宮城県山元町の43歳の町役場職員。大学時代まで打ち込んでいた陸上からずっと遠ざかっていたが、震災の1年後再び走り始めた。そして43歳の体にむち打ってめざすのが21キロを走るハーフマラソン。マイスターの特訓を受けて大会に挑む

よみがえりマイスター - NHK


津波被害を受けた宮城県の山元町の職員である伊藤さんが、仙台国際ハーフで100分以内の完走を目指すというお話。
伊藤さんは中学から高校まで陸上をされていたそうで、最盛期にはフルマラソンを2時間52分で完走されていたそうです。速い!

大学卒業後は山元町で公務員として働き始めたそうでして、それ以来走ることからは離れていたそうですが、3年前の震災後から復興に忙しく過ごしていたときにちょっとした気分転換のつもりで職場のメンバーと走り始めたというエピソードが紹介されていました。道具も場所も選ばず手軽に始められるのがランニングのよいところだと思いますが、きっかけはそうであったとしてもずっと続けられた一因としては「走る」という行為が生きている実感を直に得られるからじゃないかというのも大きかったんじゃないかなと思いました。


その後、群馬県のとある町で開催されたリレーマラソンに招待されて仲間といっしょに参加したそうですがそのときに沿道から受けた応援がすごくうれしくて、今度は自分たちが元気に走る姿をいままで支援してくれた人たちに見せたいと思うようになったそうです。

マラソン大会に出たことのない人には伝わりにくいかも知れませんが、沿道の応援ってほんとうれしくて、あんなふうに声をかけてもらえることがその後も走るモチベーションになったりします。だから伊藤さんの気持ちはすごくわかるなと感じました。


で、仙台国際ハーフに挑戦して100分以内での完走を目指しましたとなるわけで、その過程で金哲彦さんが2度直接会ってアドバイスをするというのが番組の流れでした。

今回走られた伊藤さんは体が硬いところや走り方がわりと似ていたので指摘されることがいちいち自分にも当てはまったので金さんのアドバイスはすごく参考になったし、それだけでも観てよかったなと思いました。ストレッチや、腕の振り方や足の踏みだし方を気にするだけでずいぶんよくなるんじゃないかという気がして早く走りたくなりました。


肝心の大会はというと、伊藤さんは目標の100分を大幅に上回るグロス93分(ネット92分)というタイムで完走されていて、さすが経験者は違うなと感心せずにはいられませんでした。もともと2時間52分でフルを完走していた方なのでコツを思い出せばあっという間に速くなるんですが、それはそれとしてもそこまで戻るためにたいへんな努力をされていたことは番組の様子からもうかがえたし観ていたらすごく走りたくなりました(本日2回目)。


「走る」ことそれ自体は大したことではないし誰にでもできることですが、そんな原始的な行為だからこそ生きていることをリアルに実感することができます。走ったら苦しいしつらいし足も痛くなるけれど、でもその瞬間感じている苦しさやつらさというのは、いま自分がまさに生きていることを示す証左であるとも言えるんじゃないかと思っています。


さいきん怪我のためにずっと走ることを控えていますが、上で書いたことを考慮すれば、いまの走れない日常というのは生きることを実感できずにいる日々であるとも言えるわけです。ここ10日ほど感じていた物足りなさというのは、主にその実感の不足から生まれるものなのかも知れないなとこの番組を観ながら思いました。