楽しく、気持ちよく走るために心がけていた3つのこと



いつも読んでいる「はてなブログを毎日書いていたら10Kg痩せました!」でこんなエントリーを見つけました。

走るのが楽しくなるという「ランナーズ・ハイ」という合法ドラッグがあると聞きました。
入手経路をご存じの方はこっそり教えて下さい。お願いします。

ランナーズ・ハイ入荷希望 - はてなブログを毎日書いていたら10Kg痩せました!


「痩せたのははてなブログを書いてたからじゃなくて走ってたからじゃないですか!」と思わずツッコみそうになったのはさておいて、エントリーを読むと「走るのは気持ちいいって聞いたから始めたけどぜんぜん気持ちよくなくてすごくつらい...」というお話なんですが、これはわたしも経験があるのですごくわかります。

わたしも趣味で走っているのですが、走り始めた当初はほんとうに気持ちよさとかわかんなくてただただつらいだけでした。

「ああ、疲れたなー。今日は2kmくらい走っただろうから帰ろうかな」と帰途について地図で走った距離を測ってみたら500mしか走ってなくてショックを受けたこともあったし、走っても一向に痩せなくてそのストレスで食べ過ぎて太ってしまいもう走るのは止めようと思ったこともありました。

走る気持ちよさなんてまったくわからなかったし、転んでけがをしたせいで年単位で走るのを止めたこともあります。

ただ、期間は空いてもなんだかんだと走ることはずっと続けていて今年で9年になり、1年半ほど前からは本格的にマラソンに取り組みはじめてフルマラソンもそれなりのタイムで完走できるくらい走れるようになりました。そんなわけで、走る気持ちよさも楽しさもそして走ることを楽しむコツもそれなりに学びましたので、それを書きたいと思います。


まずは基礎知識

ランナーズハイってどういう状態?


ランナーズハイという言葉はわりと有名なので知っている人もいると思いますが、たぶんイメージとしては「走っている最中にすごく気持ちよく感じる状態」くらいに思っている人が多いと思います。走って苦しいときになぜ気持ちよく感じるのか?という点については諸説あるそうですが、走って苦しい状態を脳がごまかそうとして脳内麻薬とも呼ばれるエンドルフィンを出すので気持ちよく感じるんだというのがよく言われている説であり、これが正しいんじゃないかなとわたしも思っています。

仮にこれが正しいとすると、ランナーズハイになるためには脳がその苦しさをごまかしたいと思うほど追い込んで走らないといけないのですが、普通の人はそこまで追い込んで走ることはまずありません。多少苦しいくらいであれば決めた時間/距離を走ろうと努力しますが、あまりに走るのがつらければ足を止めて休みます。そうなるとランナーズハイになる前に走るのを止めてしまうことになりますので、ハイの状態を経験することはなかなかできないということになります。

つまり多くの人にとって、ランナーズハイというのは経験することがすごくむずかしい状態なんです。
これは初心者ランナーにかぎらず、それなりに走りこんでいる人でもそうだと思います。

セカンドウィンド


では多くの人にとって走っていて気持ちよく感じることはないのか?というとあります。

たとえば、一般的には走り出して10分くらいは体も足も重く、息も整わなくて走りにくい状態だと言われています。
いくらストレッチをしていたとしてもまだ体が走る状態になっていないんですね。だから走り出しはいつも苦しいです。

ところが走って10分から15分(時間は気温や走力によって変わりますが概ねこのくらいです)経つと、急に息が整い、足が自然と動くようになります。この状態をセカンドウィンドと呼びますが、一度その状態になると多少ペースを上げてもさほど苦しく感じず、風を切る速さが心地よくさえ感じるようになります。かなり気持ちいいです。

この状態がどれだけ続くのかは走力に比例し、長く続けるためには脚力も心肺もそれなりに鍛えられていなければなりません。

ただ、ランナーズハイとは異なりこの状態はある程度の時間走っていればだれでも体験することができます。


ランナーズハイとセカンドウィンド


おそらく、世間で「走っていて気持ちいい」と言われているのはランナーズハイではなくセカンドウィンド*1のことだと思います。ランナーズハイは趣味で走っている人が体験するにはちょっとハードルが高いです。


簡単にまとめ


ごちゃごちゃ書いてしまったので簡単にまとめ。

  • ランナーズハイと似た現象でセカンドウィンドという現象がある
  • セカンドウィンドは初心者でも経験しやすいがランナーズハイはちょっとむずかしい
  • ランナーズハイになるためには徹底的に追い込んで走っていて苦しく感じる時間が必要
  • セカンドウィンドは長時間走ればほぼ経験できる


というわけで、以下ではセカンドウィンドを体験するためのコツをまとめます。


セカンドウィンドを体験するコツ


  • 最低限走る時間だけ決めて、あとは距離も時間も決めずに走る
  • 走り出しはなるべくゆっくり走る
  • コースは信号のないところを探す
最低限走る時間だけ決めて、あとは距離も時間も決めずに走る


走り始めて一番困ったのはどのくらいのペースでどのくらいの距離を走ればいいのかわからないことです。
最初のころはネットにも情報がなかったのでとにかく手さぐりで試してみたのですが、結局わかったのは「走る速さも距離も一般的にこれがいいっていうのはない」ということです。そりゃそうですよね。

だから初心者は「走る距離だとか時間はいっさい気にせず、走れるだけ走るのが一番いい」というのがいまの考えです。
走りたいペースで走れるだけ走る。もちろん細かいルールはいくつかもうけますが、基本はこれでいいと思います。


ただ、上でも書いたとおり、セカンドウィンドに入るためにはおおよそ10分以上は走らなければいけません。
なので「最低でも○○分以上走る」というのは決めておきます。よくわからなければとりあえず20分〜30分に設定しておけばよいと思います。そして決めた時間内はなにがあっても立ち止まらない、歩かずに走り続けるという気持ちで走ってください。

走り出しはなるべくゆっくり走る


次は走る速さについてですが、最初はとにかくゆっくり走ることをおすすめします。
上で「走りたいペースで...」と書いているのでどっちやねん!とツッコまれそうですが、セカンドウィンドに入るまではできるだけゆっくり走ってください。1kmを6分から10分くらい走るくらいでいいと思います。


痩せたいとか運動不足解消を目的にランニングをする方の多くは、速く走らないとダメ!と考えてしまいがちです。じっさいにわたしもそう考えていて、走り出しからとにかく速く走ろうとしていましたがそれだとすぐに疲れてしまいます。上で決めた最低限走る時間くらいはとにかくゆっくりと走りましょう。

こんなゆっくりでいいのか?と思うくらいのペースで十分ですし、セカンドウィンドに入ってしまえば自然とペースはあがります。


だから最初だけはとにかくゆっくり走りましょう。そして走るのが楽になってきたなと思ったら好きなペースで走れるだけ走ってみるといいと思います。セカンドウィンドに入ると体がかなり軽く感じられて風を切って走る気持ちよさを味わえて、これまた気持ちよいのです。


コースは信号のないところを探す

そして最後。わりとこれが重要です。

ランニングをしていて一番困るのはなにか?というと、走るのを止めて立ち止まらないといけないことです。
同じペースで走り続けているうちは楽に走ることができますが、いったん立ち止まってしまうとまた走り出して同じペースにもっていくまでがすごく大変ですし、さらにペースに慣れるまでも時間がかかります。セカンドウィンドに入って気持ちよく走っているときに立ち止まらなければならないというのはすごくもったいないし、せっかく気持ちよく走っていてもテンションがさがります。

そのため、できるだけ信号のない道路を走るか、大きな公園や陸上競技場で周回コースを走るのがおすすめです。

都内だと皇居とか駒沢公園がランニングコースとして人気ですが、立ち止まらずに走れるコースというのはなかなかないのでランナーにとってはすごく貴重だったりします。

さいごに


うえの3つを守って走ればセカンドウィンドには必ず入れますし、走る気持ちよさは体験できます。

ただ、実際に体験してみたときにもしかしたら「気持ちいいって言ってもこんなもんか...」とがっかりして走るのを止めてしまうかも知れません。もしくは逆にその気持ちよさが忘れられなくて走ることが日課になるかも知れません。わたしの観測範囲では7:3*2で走り続ける人の方が少ないです。つまり、走る気持ちよさよりもつらさとかめんどくささの方が勝つ人がたくさんいます。

だから走るのが気持ちいいなんていうけど、走る気持ちよさなんてのはその程度のものだと思っています。


ただ、もし走ることが日課になったら...。

もし走ることが日課になって走り続けていたら今度はもっと長い距離を速く走りたいと思うようになって10km,20kmを走るようになるかも知れませんし、そのうちマラソン大会にも出てみようかななんて思うようになるかも知れません。そして大会に出てみたら大勢の人といっしょに走る楽しさや完走の喜び、タイムを縮める楽しさに魅了されるかも知れません。
大会に出なくてもランニングを趣味にした人たちと交流して楽しんでいる人もいますし、生活のリズム作りとして毎日のジョギングを楽しんでいる人もいます。


走らなくてもぜんぜん困ることなんてありませんが、走り続けているかぎりはこんなふうに楽しさが広がっていきます。

毎日ちょっと気持ちよく過ごせる時間をもてていろんな楽しみが手に入る。
靴とウェアがあればできるお手軽な趣味としてランニングはおすすめです。


ちなみに、最初の疑問である「ランナーズハイに入るためにはどうしたらいいのか?」という点についてはどうなのかというと、正直わたしにはさっぱり見当もつきません(笑)。というのも、わたし自身ランナーズハイは(おそらく)一度しか体験したことがないからなんです。

ランナーズハイって、とにかく自分を徹底的に追い込んで「もう走りたくない/走れない」と思いながらでも走ることを止めずに最後まで追い込んだときにフッと入れる状態なので普通に走っているかぎりはそう簡単に体験できるものじゃないし、あまりこだわらない方がいいと思います。



(追記)


マラソンをするうえで参考になった本を2冊紹介しておきます。
走ることが楽しくなってきて大会に出ようと思ったときに参考になると思います。


3時間台で完走するマラソン まずはウォーキングから (光文社新書)

3時間台で完走するマラソン まずはウォーキングから (光文社新書)

*1:もしくはサードウィンド

*2:走るのを止める人:走り続ける人