栃木県大田原市で開催された第30回大田原マラソンに参加してきました

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栃木県大田原市で開催された第30回大田原マラソンに参加してきました。


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5年連続5回目の参加です。今年もフルマラソンを走ってきました。


結果

5km、10kmごとのサマリーは以下のとおり。


(サマリー[5km])

距離 タイム(平均) 累計タイム
-5km 23:50(4:46/km) 00:23:50
10km 22:11(4:26/km) 00:46:01
15km 22:24(4:28/km) 01:08:25
20km 22:28(4:29/km) 01:30:53
25km 22:14(4:26/km) 01:53:07
30km 22:56(4:35/km) 02:16:03
35km 23:13(4:38/km) 02:39:16
40km 22:40(4:32/km) 03:01:56
42.195km 09:45(4:26/km) 03:11:41


(サマリー[10km])

距離 タイム 累計タイム
-10km 46:01(4:36/km) 00:46:01
-20km 44:52(4:29/km) 01:30:53
-30km 45:10(4:31/km) 02:16:03
-40km 45:53(4:35/km) 03:01:56
-ゴール 09:45(4:26/km) 03:11:41


(サマリー[ハーフ])

距離 タイム 累計タイム
-中間点 1:35:42(4:32/km) 01:35:42
-ゴール 1:35:59(4:32/km) 03:11:41
タイム種別 タイム
グロスタイム 3時間11分41秒
ネットタイム 3時間11分18秒
平均ストライド(m) 平均ピッチ(歩/分)
1.11[m] 199[歩/分]


合計:42.2km/03:11:41(4分32秒/km)


フルマラソン男子全体では391位、年代別(30代)では121位でした。


2年ぶりに自己ベストを更新しました。

結果


まずはお決まりのコースと高低差図です。


コース図

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高低差図


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スタートまで

外は雨が降ってて寒かったのでしばらく体育館でのんびり過ごしていたのですが、スタート30分前にスタート地点に向かいました。
当日の朝に見た天気予報ではスタート時間には雨は止むはずでしたが、9時30分の時点ではまったく止んでおらずむしろ徐々に強くなっていました。しかも気温も結構低くて寒い...。

トイレに行ったり軽くジョグをして時間をつぶしてスタートの10分前にスタートブロックに移動。今回も去年と同じくBブロックからのスタートでした。
申告タイムが去年と同じ2015年のはが路のタイム(3:15:21)なので当然といえばそのとおりです。

雨がひどくて寒いせいかスタート10分前になってもまだ並んでいない人が結構いたのでBブロックのかなり前のほうに並ぶことができました。

早くスタートしないかな...と思いながら並んでいると、後ろにいた人たちが「先月の水戸も雨がひどかったけど今日も同じくらい雨がひどいし、水戸よりも気温が低くて寒いからもう最悪だ...」と愚痴っているのが聞こえてきました。そういえば今年の水戸もかなりの大雨だったと聞いていましたがこんな大降りだったのかと今さらながら水戸を走った人たちや運営の人たちの頑張りのすごさを思い知りました。

スタート5分前。
既にTシャツはびしょ濡れ状態でしてもう嫌な予感しかしません。

ため息をつきつつ、その場で足踏みをして体を動かすことで少しでも体温を上げようとしましたが寒いのはまったく変わらず(笑)


靴ひもやチップの最終確認をしたあとはボーっと遠くを眺めていたらいつの間にかスタートしていました。
大田原って号砲の音小さすぎて毎年聞こえないんだけど、あれはわざとなのかな?

スタート~10km - 45:38(4:33/km)

「え?スタートしたの?」「毎年、号砲は聞こえないんだよね」

そんな周囲の会話を聞きながら歩きだし、徐々にペースを上げていきます。
スタートロスは23秒と去年とほぼ同じですが、混雑はいつもよりも緩やかに感じられました。競技場を4分の3周してから公道へと抜けるのですが、競技場の出口が少し狭いため毎年ここで少し詰まります。今年も例年同様詰まったものの、これまたいつもに比べると詰まり具合は大したことがなかったです。

公道に抜けると走路が広くなるためかかなりばらけるので一気に走りやすくなったのでここからは走りたいペースまで上げてそれを維持することを心掛けました。

そして今回はタイムは気にせず走ろうと思っていたので時計を見ずに走ってきました*1。見たのは中間地点とゴール地点の2か所だけです。


さて。
1km地点を通過したときにもいつもよりも走りやすいと感じたのですが、2kmを通過したところでそれは確信に変わりました。例年は4kmくらいまでは油断するとぶつかるくらいランナー密度の高い状態が続いていましたが、今年はそういったことはまったくなくてかなりストレスのない状態で走れました。運営の工夫のおかげなのか、それともいつもよりも前のほうを走っているので人が少ないだけなのかわかりませんでしたが、この走りやすさが何に起因しているのかはさておいてとにかくいつもより走りやすい環境だということは間違いないなと確信しました。

これで気持ちよく走れるぞーと思いきや、ひとつ気になることがありました。それは右足のふくらはぎに違和感が出ていたのです。

走り出しから脚がやや重いような気がしていたのですが、3km地点を過ぎたあたりで張りを伴う違和感があることをはっきり認識しました。去年のさのマラソンで7km地点で脚がつりそうになったのですが、そのときと似たような違和感でしたのでひとまずペースを上げ過ぎないように気を付けながら走ることにしました。


最初に書いた高低差図のとおり、大田原は前半23.5kmが下り基調で後半19kmが上り基調というコースですので下りの多い前半はどうしてもペースが上がり気味になります。

去年は前半飛ばし過ぎて後半しんどかったことを思い出し、今年は前半もペースを上げ過ぎないように気を付けながら走ることにしました。時計は見ていないのでタイムはわかりませんが、呼吸はまったく乱れていなかったのでそのまま走り続けます。体感だと4分40秒くらいでした。


5km地点を過ぎたときには雨は弱くなっていましたが完全に止んではおらず、路面にはところどころ水たまりができていて走りにくさを感じました。


スタート直後から続くふくらはぎの違和感は残っていたものの、大きくペースを崩す要因はなかったのでそのまま走り続けてあっという間に8kmを突破。

このくらいのペースであれば下りが続く23.5km地点までは走れそうだなと思いながら走っていましたが、8.5kmあたりで100mほど前を走っていた人が補給食を落とすのが見えました。本人も落としたことには気づいていたようですが、戻るのは無理だと判断したのか諦めてさっさと走って行ってしまいました。

周りを見るとわたしの周囲にはほとんど人もいなかったので、他のランナーの邪魔をすることなく落ちた補給食を拾い上げ、落としたランナーに渡そうと追いかけることにしました。100m程度であればすぐに追いつけるだろうと思って思いっきりペースを上げたのですが落としたランナーも結構いいペースで走っていたのかなかなか追いつくことができません。

最後はほぼ全速力で走り、なんとか追いついて渡すことができました。めちゃくちゃ疲れた。


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これは今大会を通してのペース配分のグラフなんですが、全体的に安定しているように見えますが左側に一か所だけ大きなピークができています。瞬間的に速く走ったという証左なのですが、これは補給食を渡すために追いかけたときのピークです。走り終えた後にすべてのデータを見返したときにこのピークの存在に気付いたのですが、あまりに異様なピークだったので「これは何のピークだろう?」としばらく悩んでしまいました(笑)


その後も特に問題なく走り続けて10km地点に到着。
最初の10kmはあっという間だったなという印象を受けました。

10km~20km - 44:52(4:29/km)


10km地点を通過後も気持ちよく走り続けていたのですが、そういえばここまで3時間30分のペーサーを見ていないことに気付きました。
例年、時間が経過すればするほど3時間30分のペーサーは大集団を作って追い越しにくくなるので早い段階で越しておかないとあとでひどい目にあいます。だからなるべく早いタイミングで追い越しておきたかったのですが今回はまったく見かけておらず、前のほうを見てもそういった集団がある気配はまったくありませんでした。

ここまで走ってきたペースが3時間30分ペースだとは思っていませんでしたが、でも3時間30分の集団に追いつくなら早めがいいなと思ったので10kmを過ぎたあたりから下りの力を使って少しずつペースを上げてみました。体感ではキロ4分30秒くらいになるように意識していたのですが、そのペースでいくら走っても前にはペーサー集団を見つけることができませんでした。ここでやっと3時間30分のペーサーは最初から後ろにいるということを知りました。


もうあの大集団と関わらなくて済むと思ったらほっとしました(笑)


13kmの打ち切りポイントを過ぎた先にいい感じの下り、そして14kmを過ぎたところにいい感じの上りがあった影響なのか結構な人を抜いて気持ちよく走れました。まだまだ序盤なのでペースを上げすぎないように気をつけつつ、でもいけると思ったときはなるべくペースを上げるよう心がけました。
14km過ぎの坂を上って左折してしばらく走るとその先が15km地点です。左折してから道路が少し狭くなったので走路はやや混んでいましたが、人数もそこまで多くなかったのでうまくペースを維持しながら走り続けます。そしてこの15kmで最初の補給食をとりました。今回は15km-24km-34kmでとろうと決めていたのでここは予定どおりです。


しばらく直進してから再度左折。緩やかな下りが続きますがその途中で16km地点に到達。なんだかあっという間だなと思いながらそのまま走っていると、一気に視界が開けてものすごいいい風景が広がっていました。風が強く吹き始める予兆が出始めていてそれはすごくいやだったのですが、ここの眺めのよさはほんとうにすばらしくて最高でした。ここで写真撮りたいなーと毎年思います。

そしてそのまま直進すると交差点があり、そこが17km地点です。


この交差点の右方向が最終的な進行方向なのですが、ここの交差点を曲がる前に一度奥まで走って折り返さなければなりません。ここが大田原マラソン唯一の折り返しとなっています。

交差点には既に折り返して曲がっていく人たちが多くいたのですが、自分が交差点に差し掛かったときにちょうど大きな集団が曲がっていくのが見えました。何の集団だろうと見てみると3時間の文字が見えました。3時間の集団がここにいるとなるとやはり3時間30分の集団は既に後ろにいるんだなという確信を得、そして3時間の人たちがそこまで遠くない場所にいることにちょっと驚きました。折り返しまでどのくらいの距離があるのかわかりませんが、往復2kmくらい離れていると仮定すると3時間の集団と8分ほどしか離れていない計算になります。


ここまで一度も時計を見ていなかったので自分のペースがまったくわからなかったのですが、ここで初めてわりといいペースで走れていることを意識しました。


とはいえ、まだまだ序盤ですのであまりタイムのことは考えずにこの交差点を直進して折り返しを目指します。
折り返しまでは1kmもなかったと思うのですが、少しアップダウンがあって走りにくさを感じましたが、ここも一定ペースを心がけたおかげで上りで結構な人を抜きました。フラットな場所であればペースを上げなければ前の人は抜けませんが、上りだと自分はペースを変えないだけで周囲の人をたくさん抜けるので楽しいです。


折り返しからもひたすらペースを保ちつつ走っていると、交差点に戻る200mほど手前で3時間30分の集団とすれ違いました。


やはりというか、集団はかなり大きくなっていてここまで大きくなると後ろから追い越すのはすごい大変そうに見えました。あれに追いつかれないように気を付けないと。


そして交差点まで戻ったら左折して少し直進すると19km地点に到着。
このあたりから走る向きによっては風が気になりだしたのですが、それでも雨がすっかり止んだおかげで走りやすくなっていたので走る上でそこまで困るというものではありませんでした。


風にもめげずそのまま走り続けるとあっという間に20km地点に到着。
この時点でふくらはぎの違和感はあるものの、それ以外には疲れらしい疲れも無くてかなり気持ちよく走ることができていました。


ちなみに10kmごとに区切ったときにこの区間のタイムが毎年一番いいのですが、今年もその例に漏れずここが一番タイムのいい区間となりました。

20km~30km - 45:10(4:31/km)


20kmを過ぎるといよいよ上りに転じる23.5km地点のことが気になり始めます。
前半はかなりペースを抑えて走ったおかげで20kmの時点ではかなり足の負担も少なくてまだまだ走れそうでしたが、思い返せば去年も23.5kmまでは本当に調子がよくて23.5kmまでは「このままずっと走っていられそう」と思うくらい走れていたのですが、その後は向かい風でボロボロになり、後半ハーフは前半ハーフよりも6分以上遅いタイムを出してしまいました。それを思うと20kmまで楽に走れたと言っても絶対にまだまだ気が抜けないなと思っていました。


そんなことを考えながら走っていると中間地点が見えてきたのでここで時間を確認すると、11:35:40の文字が見えました。
大田原マラソンは10時からスタートなので中間地点の通過は1時間35分40秒ということになります。去年が1時間36分45秒なので1分ほど去年より速い計算になりますが、これはかなり意外でした。
去年は今年に比べるとかなりがんばってペースを上げて走っていたつもりだったというか、1kmごとにペースを確認してペースが落ちないように慎重にタイムコントロールをしながら走っていたのですが、その去年のペースよりも抑え気味に走った今年のほうが速いというのはかなり意外でした。


「え?ほんとにこのタイムなの?」ととても驚いたのと同時に、自分自身がものすごいホッとしていることにも気づきました。



「3時間20分を切るだけなら残りのハーフはキロ5分でも十分なんだ」



今回の大田原マラソンの目標タイムは3時間10分でしたが、その目標とは別に最低限このくらいのタイムは出したいと思っていたタイムがあってそれが3時間20分でした。去年の大田原マラソンのタイムです。

直近の状況を鑑みると3時間10分はなかなか難しいというのはわかっていましたが、さらに去年あの強風の中で出した3時間20分でさえもちょっと怪しいのではないかという心配もありました。榛名湖のタイムや柏崎での失敗レースなどあって、ただでさえなけなしの自信を完全に喪失していたためなんですが、そんな自信喪失状態だったこともあってハーフの通過タイムが思ったよりもよかったことはものすごい励みになりました。

そして中間点から下りが終わる23.5kmまでの2.5kmをキロ4分30秒で走れば、残り19kmをキロ5分で走れば十分3時間20分を切ることは可能だという計算になります。たとえ23.5km地点以降で強風が吹いたり上りでつぶれたとしてもキロ5分が維持できればそれで十分だと思えたおかげでここからは走ることがまったく苦ではなくなりました。


そして、もうひとつ中間点でこのタイムを見たときに思い出したのが3週間前に走った那須塩原ハーフのことでした。


itotto.hatenablog.jp


今年の那須塩原ハーフは前半9kmをキロ5分、後半12kmはキロ4分までビルドアップしながら走ったのですが最終的なタイムは1時間36分00秒でした。
那須塩原ハーフの大会当日は柏崎マラソンから4日しか経ってなかったのでペースは抑え気味に走ったのですが、とは言え、ゴールしたときには思っていた以上に余裕があって走る前とほとんど変わらないんじゃないかというくらい足も呼吸も落ち着いていてそのことが自分でもとても意外でした。

那須塩原ハーフのゴール時は「もしかしたらここからもう一回ハーフを走っても同じくらいのタイムは出せるんじゃないか?」と思ったのですが、中間点のタイムはその那須塩原ハーフのタイムとほぼ同じで、そして中間点を過ぎた瞬間の自分の足の状況や心境はまさにそのときと同じ「ここまで走ってきたのと同じペースだったらもう一回ハーフを走れそう」というものでした。


ですが、大田原マラソンの前半は下り基調ですが後半は一転して上り基調になります。

冷静に考えれば後半もまったく同じペースで走るのはかなり厳しいし、ハーフまで順調だったのに結局風にやられてダメだった去年のことを考えるとやはり後半も同じペースというのはなかなか厳しいだろうなとも思いました。

ですが、たしかに難しいとは分かったうえで、でもなんとなくこのままのペースであればいけるんじゃないかという期待も捨て切れませんでした。


とにかく中間点でのタイムがわりとよかったことでかなり前向きな気持ちがわいてきたので、まずは中間地点から23.5km地点まではペースを意識的に上げて走りました*2


そしていよいよ23.5kmの2つ目の打ち切りポイントの交差点を左折したところで上りが始まります。

上りが始まるとペースが少し落ちたような感覚があったのですが、ここからはピッチを意識的に上げていまのペースを維持しにかかります。前半はピッチを抑えていたのですが、後半はいつもどおりのピッチに戻しました。体感では200spmくらいを維持するよう心がけましたが、ここまでかなり楽に走ってきたので多少ピッチを上げてもまったく苦しさは感じず、むしろいつものピッチに戻したことで走るリズムはかなりよくなりました。


さて。大田原マラソンは後半上り基調であることは何度も書いていますが、この上りは上りと言っても「言われると上っているような気がする」という程度の上りです。
ところどころ足を止めるようなきつい上りも数ヶ所*3ありますが、基本的には上りであることを意識するようなところはあまりありません。ただし上りが延々と続くためなのかいつの間にか足が重くなっていて走れなくなるとはよく言われていて、28kmあたりから歩いている人が目立つようになります。去年のように向かい風が強かったりするともっと早い段階から歩いている人が増えますが、今年は例年と同じで28kmあたりから歩いている人をポツポツと見かけました。


上でも書いたとおり23.5km以降は走り方をピッチ寄りに変えてのぞみましたが、そのおかげなのかまったくつらいと感じる瞬間もなく不思議なくらいペースを維持できました。予定では24km地点で補給食を取る予定でしたので、24kmを過ぎたところで補給食を摂取。

中間点以降は一度もタイムは確認しなかったのですが、上りが始まってからも前半とまったく同じペースを刻んでいるという実感があったし、上りだからといって足が重くなることもぜんぜんなくて淡々とゴールに向かってペースを刻み続けました。それでも去年のつらい思い出があるので、「いまはいくら楽に走れていたとしても次の瞬間には足が上がらなくなるんじゃないか」という恐怖は常に頭にあってビクビクしながら走っていたのですが、25kmを過ぎ、28kmを過ぎ、30km目前となっても呼吸が乱れることすらありませんでした。

スタート当初からあった右足ふくらはぎの違和感だけは存在感を示していましたが、それもこのペースであれば最後まで付き合っていけるだろうというめどは立っていました。


300mほど先に30km地点が見えたところで、今回初めて「これはもしかしたらこのまま最後までいけるかも知れない」と思い始めました。

30km~40km - 45:53(4:35/km)

30km地点を過ぎたところで、フルマラソン恒例の「あと12kmもある」と思うのか、それとも「あと12kmしかない」と思うのかを考えてみたのですが、今回はこのどちらでもなく「あと12kmなんだ」という感じでした(笑)

この時点でまったく疲れていなかったのでまだまだ走れそうでしたが、一方ではここからも上りが続くことも知っていたのでさらにペースアップしてもっとタイムを縮めたいという気持ちにもなれず、ただただ事実を事実として受け止めるだけという感じでした。それでも、走りながら感じていたのは「今回のフルマラソンはいままで走った20回のフルマラソンの中で一番楽に走れている」という実感であり、「このまま最後までペースを落とさずに走りきれるかも知れない」という期待でした。

30km走ってもなお、走るのが気持ちよくて楽しくて最高の時間が続いていました。


30km地点を過ぎると風が少し出てきたのですが、その風に煽られる形で前を走っていた人がどんどん歩き出したのでここからはかなりの人を抜きながら走りました。
わたし自身も3年前の大田原で大きくペースを崩してしまい、25km以降は走っては足が攣ってを繰り返すという経験があります。遅くてもいいから走りたいのにまったく走れず、歩くことさえかなわないというあの状況はあまりにつらくて泣きたくなるほどでしたし、歩いている人を追い越しながら「歩かざるを得なくなったときの心境」を想像してしまい勝手にブルーになっていました。


風は吹けども今日のわたしにはまったく効かず、むしろ「体温を下げてくれる気持ちいいもの」にしか感じません。
そのままペースを落とさず32km地点を通過したのですが、ここで最後の補給食を取ることにしました。ラストスパートができるようにもうちょっと遅めに取ろうかとも考えたのですが、いったんエネルギーが切れてしまうとあとからいくら食べてももう元のペースでは走れなくなることを経験済みだったので*4念のために早めに補給することにしました。これで最後の補給食です。


33kmあたりで補給食を食べ終え、そのまま直進していくと道の駅の那須与一の郷が見えてきます。


ここはやや上り気味できついところなのですが、毎年たくさんの方が応援してくれる場所でもあります。今年もたくさんの方が沿道で応援してくれていてほんとうにありがたかったです。


そしてここでは早朝練習会でいっしょに練習していた知人が応援してくれているという話を聞いていたので探しながら走っていたのですが人が多くてなかなか見つけられず。しばらく探しても見つけられなかったので「せっかく応援してくれてたのに見つけられなかったな...」と思ったそのときにやっと見つけることができました。知っている人がいるだけでとても元気になるというかとてもうれしいものだなと思いました。


応援をもらったことで気合を入れなおしてさらに直進。すると33.5kmあたりからこの大会一番のきつい坂が登場します。
例年のわたしであれば足を消耗しきった状態で坂を上るわけですからそれなりに覚悟を決めて無理をせずに坂を上ろうとしたはずですが、今年はまったく疲れを感じてなかったこともあって「このくらいの坂なら一気に駆け上ってやろう」とここでペースアップを試みてしまいました。それでも最初の500mはたくさんの人を抜かせたことで気持ちよく走っていたのですが、34km地点を過ぎてあと100mで上りきるというところで急に足が上がらなくなりました。これはまずいと一気にペースを落としたのですが、すぐには足は戻りません。


ペースを落としつつ深呼吸をしながら上半身を軽く動かしていると、徐々に足は軽くなり坂を上る前と同じくらいの状態になりました。ただ、無理をした影響なのか坂を上る前まであった余裕はまったく無くなり、ここからはフルマラソンのラスト8kmらしいつらい状況に陥りました(笑)
ここまでめちゃくちゃ楽に走ってたのにな...。無理に坂を駆け上らなければよかったと悔やみながらできるだけペースは落とさないように走り続けます。


坂を上りきるとそこはひたすら眺めのよい直線道路でした。長い...。
この長い長い直線を走るのかーとうんざりしながら走り続けていたのですが、そんな何もない場所でも沿道にポツポツと応援している方がいて声をかけてくれました。ひとりひとりの応援がうれしくてありがたくてしみじみしていたのですが、35km付近で国際医療福祉大学の学生さんたちが応援してくれていました。


わたしは大田原マラソンのコースでいくつか好きなところがあるのですが、その中でもダントツで好きなのがたくさんの学生さんたちが応援してくれるこの35km地点です。

ここでは毎年学生のみなさんが応援してくれているのですが、この応援がほんとうに熱くて最高にうれしいのです。今年は雨と風の中、去年は立ってるのもままならない強風の中、そして一昨年は大雨の中で応援してくれていました。フルマラソンも35kmくらいまでくると体は疲れきっているし、だけどあと7kmもあるしと結構ボロボロの状態なんですが、その弱りきったところであの応援をしてもらうとほんとうに元気が出ます。

今年もうれしくて応援してくれてた方々に手を振りながら、そしてお礼を言いながら走ったのですが、最後は応援の力強さにものすごくグッときてしまい泣きそうになりながら走りました。応援がうれしくて胸が苦しくなってペースが落ちたのは今年が初めてでした(笑)


もう大丈夫。


一度は疲れ果ててペースの維持が難しいかなと思ったのですが、ここでたくさんの学生さんから応援してもらって最後まで走る気力がわいてきました。ふくらはぎの違和感も消えてないし、足は疲れてきたし、呼吸も苦しくなってきたけれどでももうゴールまでこのままのペースで走リきる覚悟はできました。応援の力ってほんとうにすごい。


35km地点の先の坂道を下り、少し走って36km地点手前まで走ったところで前方に会社の同期が走っているのを見つけました。
見ると結構つらそうだったので話しかけようかどうか迷ったのですが無視するのもどうかと思い、思い切って声をかけてみました。


彼とは公私を問わずあまり話をしたことがないのですが、お互いに顔は知っているので県内の大会に出たときにたまに会うことがあったら軽く挨拶をしたり話したりはします。負けず嫌いなわたしは大会で会うたびに今回はどっちのタイムがよかったのかと比べていたのですが、毎回わたしよりもぜんぜん速くて*5勝負にならないレベルだと思い知ったのでいまは勝負を挑むこともなくなりました。


走りながら話を聞くと、どうもかなり体力を消耗してしまってペースがもう上がらないということでしてたしかに話していてもかなり厳しそうな状況でした。まるで先日の柏崎マラソンのときの自分を見ているようでした。
別れ際に「まだ行けそう?」と聞かれたので「もうちょっとがんばってみる」とだけ答えて先に進みました。


わたしは今回で20回目のフルマラソンですが、いまだに走る前は完走できないんじゃないかと不安になります。30km以下の距離であればそこそこのタイムを出した上で走りきる自信がありますがフルはダメです。

わたしが思うフルマラソンの怖さは後半の展開の読めなさにあると思っています。
エネルギー不足だったり疲労で足が動かなくなってしまったりと理由はさまざまですが、前半いくら調子よく走っていても後半まったく走れなくなるということはめずらしくありません。そんなふうに後半は常につぶれてしまうリスクがつきまとうフルマラソンですが、とくに後半で上りが続いて向かい風に悩まされることの多い大田原ではその傾向が強くなります。


だから同期の状況は決して他人事とは思えなかったし、だからこそ彼の悔しさだとかつらさは自分のことのように感じました。


応援でもらった気力を大事にしつつ、でも途中でつぶれないように自分自身の体の変化に注意を払いながらひたすら走り続けます。
38kmを過ぎ、39kmを過ぎて最後の関門を過ぎたところでひとまず完走できるめどが立ったことにホッとしました。


39kmを過ぎるとだいぶ市街地へと入ってきて周囲には大きなお店や飲食店が出てきます。やっと帰ってこれたという安堵から気を抜いてしまいそうになるのですが、まだまだ3km近くあるので気を抜くのは早すぎます。沿道からの応援を励みに歩を進め、なんとか40km地点を通過。


あと2km!(+195m!)

40km~ゴール - 9:45(4:26/km)

残り2.2km。

中間点以降、どのくらいのペースで走ってこれてるのかわかりませんが、まったくペースが衰えてなかったのでおそらく自己ベストの出せるペースだろうという確信はありました。少なくとも3時間15分を切れないということはないだろうと思っていましたが、一方でまだ2.2kmあるんだという不安もありました。もしここで足が攣ったら一発で自己ベストがご破算になるくらいの余裕しかないだろうとも思っていたので、ペースを無理に上げることなく、でも今よりも落とすことはせずに走り続けることを目標にしました。

ここまでもたくさんの応援を沿道からいただいていましたが、ゴールに近づくほどたくさんの応援をいただきました。

できるだけたくさんの方にお礼を言いたかったのですが応援の人が多すぎてなかなか伝えきれません。
こんな大きな道路を止めているにも関わらず、たくさんの地元の方から応援していただいて本当にありがたかったです。


ペースはまったく衰えず、むしろスパートをかけたいと思うほど余裕もあったのですがふくらはぎの違和感がどうしても不安でそのまま巡行。
大通りを左折して少し進むとすぐに41km地点を通過。あと1km!こんなに最後の最後まで走るのが楽しいフルマラソンは初めてだと思うくらい、心肺も脚も余裕たっぷりでした。あと1kmだということや自己ベストを確信しながら走っているということに興奮しながら最後の1kmを噛みしめるように走ります。


残り600m。
走路を右折して前に目をやるとゴールのある美原公園陸上競技場が見えてきました。ここまでくればもう何があっても大丈夫だと確信して、ふくらはぎの様子を見つつ少しずつペースを上げてみることにしました。陸上競技場へと入り、4分の3周してゴールなのであと300m。

徐々にペースを上げていき、一人、二人と前の人を抜きながらゴールへと向かったのですが、あと100mというところでふくらはぎが攣りそうになったのでペースを戻します。完全に攣る一歩手前でした。危なかった...(笑)


ゴールする直前にゴール脇にある時計に目をやると13時11分37秒の文字が見え、2年ぶりの自己ベスト更新は4分の更新だったことを知りました。

ゴール後

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ゴール後にフィニッシャータオルと水をいただいて体育館に戻ろうとしたらゴール脇で知っている人を見かけたので少し立ち話をしました。
楽しく話しているときは走っているときと変わらず元気だったのですが、話し終えて競技場を出てあんぱんやジュース、そして完走証をいただいてから体育館に戻ろうとしている途中からものすごい疲労に襲われました。めまいはするし足は痛いし、さっきまでの元気はいったいどこに...と思いながら歩いていると、向こうからマコ*6が歩いてきました。


今回は応援naviというアプリを使ってわたしの状況を見てくれていたので、ゴールしたことを知って迎えに来てくれたのでした。


あれこれ話しながらひとまず体育館に戻ろうという話になったので歩いて行ったのですが、一歩歩くごとに体のあちこちが痛くなってきてだんだんまっすぐ歩くのも難しくなってきました。それでも何とか参加賞のTシャツを受け取って体育館に入ろうと靴を脱ごうとしたところで靴が真っ赤に染まっていることに気付きました(笑)

急いで靴下を脱いでみると指の一部が擦れて流血していて、さらに足の裏の皮も数か所めくれていました。
荷物のある所までは何とか歩いて移動したものの、一度座ったらもう疲れ切っていてしばらく立ち上がれなくなっちゃいました。


そんなわけで余裕で走り切ったのかと思いきや、実は満身創痍だったというわけでして帰りの運転は妻にお願いしちゃいました。いままで走ったことのないペースでフルを走り抜けたわけですからこのくらいはありますよね...。

まとめ

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そんなわけで2年ぶりの自己ベストを更新してきました。

大田原で自己ベストを出すのは2013年の初大田原以来2度目でしたが、高速コースとは決して言えない大田原で自己ベストを出せたことは本当にうれしいし、自分の走力が予定していたところまで引き上げられていたことを実感できたのも喜ばしい限りでした。「タイムはいま身についている実力を数値化しただけのものなのでそれに一喜一憂するもんじゃない」なんてかっこつけて言ってしまったこともありますが、やっぱりいいタイムが出るのはそれだけでうれしいものです。

当初の目的だった3時間10分には及ばなかったことはとても悔しいなと思う一方で、あと1分42秒を縮めるためにはキロ2.5秒速く走らないといけないと考えるとこれはそんなに簡単なことではないぞと思いました。もう少しで手が届きそうだけどそんな容易に届く距離にはないということは肝に銘じておこうと思います。


毎年走る前はいいタイムを出す自信がなくて出るのを止めたいと何度も考えてしまう大田原マラソンですが、振り返ってみると2014年以外は安定してそこそこの結果が出せていることに気づきました。初めて走ったときからずっと、大田原マラソンのコースとは相性がよくないというか苦手だなと思っていましたが、結果だけを見ればそこまで苦手なコースではないのかも知れないなといまさら思いました。

去年のシーズンベストも大田原でしたし、このままいけば今シーズンのベストも大田原になる可能性が高いですし、何だかんだ大田原のコースが自分には合っているのかなと思っていますが、一方でいわゆる高速コースを走ったら自分はどのくらいのタイムを出せるのか?という部分に急に興味がわいてきました。

いままでは自分の走力の底というか下限を知りたくて柏崎や大田原、榛名湖のような比較的タイムの出なそうなコースを選んで走っていましたが、逆にタイムの出そうなつくばや佐倉のような大会にもそろそろ挑戦してみたいなと思い始めました。次に出る予定のはが路もタイムが出やすいとは言えないコースだと言われているので、来年はそういう大会に出て自分の上限を知りたいです。


(過去に参加した大田原マラソンの結果)

大会名 日付 タイム 前回差
第26回大田原マラソン 2013/11/23 3時間25分41秒 -
第27回大田原マラソン 2014/11/23 4時間4分8秒 +38分27秒
第28回大田原マラソン 2015/11/23 3時間26分00秒 -20分20秒
第29回大田原マラソン 2016/11/23 3時間20分25秒 -5分43秒
第30回大田原マラソン 2017/11/23 3時間11分41秒 -17分15秒


(関連リンク)

*1:柏崎で1kmごとのラップを確認して走ったらその区間のタイムに振り回されてしまったので今回は見ないことにしました

*2:走っているときはタイムは確認していませんでしたが、いま見ると22kmまでが4'20、23kmまでが4'18と結構いいペースで走れていました

*3:記憶にあるのは34kmと38kmのところ

*4:ちなみにその失敗をしたのが2年前のはが路でして、あの失敗がなければ今回のタイムくらいは間違いなく出せていたはずです

*5:10kmだとわたしが42分くらいで彼が38分とかそういうレベルで差があります

*6: