先週5月8日に大会で50kmを走ってきました。
50kmというのはフルマラソンより長い距離ですから比較的長距離とは言え、ウルトラマラソンとしてはお手頃な距離ですし一か月前に一度60kmを楽々と走りきったという自信もあったので正直かなり気楽にのぞんだのですが、その結果いろんなひどい目にあってきました。その中でも以下の3つのイベントはとてもヘビーでかなり参ってしまいました。
- 視界がホワイトアウトして立っていられなくなる
- 足がつって走れなくなる
- めまいと吐き気が止まらなくなる
どれもなかなかハードな出来事ばかりで大変でしたが、つらかったのと同時に自身のランナーとしての成長を実感できる出来事でもありましたのでそれについて簡単にまとめておこうと思います。
視界がホワイトアウトして立っていられなくなる
スタートから3時間40分を過ぎたあたりで42km地点を通過。
ペースはかなりゆっくりだったものの、さすがにこのくらいの距離を走ると疲れも出てきていました。それでもあと8kmだと思ったら4時間半は余裕で切れそうだなとホクホクしてペースを維持して走っていたのですが、43km地点を過ぎて少しすると急に目の前が真っ白になってしまいました。まぶしくて目をまったく開けていられない状態。
当日はめちゃくちゃ日差しが強かったのでそのせいかな?と一瞬思ったのですが、ここまで4時間近く走ってきて何ともなかったのに急にここでまぶしく感じるのはおかしいと思ったところでふとあることを思い出しました。
あ!これ進研ゼミでやったやつだ!
思い出したのは2年前の東和ロードレースでハーフを走ったときのことでした。
2014年7月。
福島県二本松市でハーフマラソンを走ったのですが、18km地点直前で今回とまったく同じ症状が出て走れなくなってしまいました。
そのときは何が起きたのかさっぱりわからなかったのですが、とりあえず近くの給水所へ駈け込んで水をかぶって回復しなんとか事なきを得ました。
あとで調べたら熱中症になるとこういう症状が出るということがわかり、おそらく「まだ暑熱順化ができてない」「長時間暑い中を走った」「水分が十分に取れていない」というのが原因だったと理解しました。
今回も症状がまったく同じだったので前回と同じように対処すればいいのかなと思ったのですが、一方でこういう症状は貧血になったときも出るらしいということも以前調べて知っていました。前に調べたときは貧血は関係ないと切り捨てていたのですが、貧血治療中の現在はその線も疑わないといけません。そして熱中症なら体を冷やせばなんとかなりますが、貧血なら走ることは早急に止めた方がいいと考えました。
貧血なのか熱中症なのかどっちなのか?
立ち止まって体を休めながらリタイアすべきか逡巡していたのですが、ふとあることに気づきました。
それは全身にほとんど汗をかいていなかったのです。
わたしは暑いときに走ると結構汗をかく方でして、夏場ともなると激辛ラーメンを食べてるデブ並みに汗をかいています。
ところがこの日は最高気温25度という夏日で4時間近く走り続けているにも関わらず汗をかいてない。
このことから「これは貧血じゃなくて熱中症の方だな」と判断できたので近くの給水所までがんばって走り、そこで水分を補給して何とか事なきを得ました*1。
過去に熱中症と貧血になったことがあるからこそ今回出た症状が何かを瞬時に判断して対処することができました。
熱中症の経験しかなければ貧血の可能性を考えずに無理をしていただろうし、貧血の経験しかなければ問答無用にリタイアしていたと思います。どちらの経験もあったからこそ正しく状況を把握して対処できたわけで、ランナーとして生きてきて得た経験値が役立ったなととてもうれしかったです。
足がつって走れなくなる
無事、熱中症を解消して走っているとふくらはぎが嫌な感じでピクピクしだしました。
これは...足がつる前兆!AT5!*2
普段はいくら走っても足がつったりしないのですが、以前一度だけ思いっきりつったことがあって今回のふくらはぎの違和感でそのときのことを思い出しました。
あ!これ進研ゼミでやったやつだ!
思い出したのは1年半前の大田原マラソンで人生唯一の4時間オーバーでフルを走ったときのことです。
2014年11月。
栃木県大田原市で4回目のフルマラソンに挑戦しましたが、30km地点を過ぎたところで今回と同じようにふくらはぎがけいれんし始めました。
あのときは極度の寝不足+けがから回復したばかりで練習不足だったこともあっていいタイムは出せないだろうと思っていましたが、想像以上に調子が悪くて30km地点で結構限界にきていました。ふくらはぎがかなりの頻度でぴくぴくとけいれんしていたので少しストレッチをしようと思って立ち止まった瞬間に足がつって動けなくなってしまったのです。
このときの経験から学んだのは、けいれんが始まったからといってすぐに立ち止まってはいけないということでしたが、そんな大事なことを思い出したのは我慢しきれず立ち止まった瞬間でした(笑)
足がつりそうになったときに一番やっちゃいけないことは「急に立ち止まる」ことだったなーと立ち止まって足がつって悶絶したときに思い出した。あと30秒くらい早く思い出したかった。
— いとっと@潮来4時間(6/12) (@itotto0205) 2016年5月8日
一度つってしまうともう走ることはままならず、しょうがないので道端に座り込んでストレッチをしました。
固くなってしまったふくらはぎをマッサージしたりして痛みを取り除きました。このあたりのケアの方法は前回つったときにいろいろ調べて勉強してたので今回は楽になるのがかなり早くなりました。2分くらい休んでから立ち上がり、軽くストレッチをして再度走り出すとけいれんはおさまって違和感なく走り続けることができました。
ここで無理をすると肉離れを起こすことも勉強済みでしたのでもちろんペースは落として走りました。
つったときにつま先をぐっと押し込むくらいしか知らなかった前回と比べるとかなりいい対処ができたと思います。
めまいと吐き気が止まらなくなる
完走後、少し休んでから会場をあとにしてお風呂に入りに行きました。
50km走った後とは言え、ペースがペースだったのでさほどつらさもなく、ゴール後も飲み物をいただいて15分ほどやすんでいたためにわりと元気でした。足が少し痛いくらいであとはまったく違和感がなかったのでお金を払って浴場へと入ったのですが、そこで状況が一変。急に吐き気が止まらなくなり、立っていると目まいがひどくて立ち続けることさえままならなくなったのです。
あ!これしn(以下略)
思い出したのは去年のかすみがうらマラソンでフルを走ったあとに起こった出来事についてです。
2015年4月。
茨城県かすみがうら市で8回目のフルマラソンに挑戦したのですが、ペースがまったく上がらなくて3時間52分というワーストに近いタイムで完走しました。途中から足が重くて前に出ず、かなり苦しいレースでして走り終えてからも具合がまったく良くならず、ぐったりとした状態で会場をあとにしました。
かすみがうら市からうちまでは車で2時間ほどの道のりですが、そこは何とか耐えて移動しました。
フルを走った直後の疲労もあってなかなかつらかったのですが一人で参加している以上は自分ががんばらないと帰れなかったし、つらいのはつらいんだけどそれなりになんとか頑張れる程度のつらさではありました。目がくらむとか気持ち悪いとかそういうのはさほどなくて倦怠感がちょっと強く感じるだけだったので何とかなりました。
だから油断していたというわけではないのですが、自宅近くまで戻ってきたところでお昼ご飯を食べようとお店に入り、席について注文し終わったところで一気に具合が悪くなり、そこからしばらくはずっと吐き気や目まいに耐えていました。この症状がなかなか強烈でして正直こんなのが運転中に出てたらかなり危なかったなとかなりひやひやしたことはおぼえています。
そのときはしばらく休んで状況が改善するのを待つことしかできず、20分ほどぐったりとしていたらいつの間にか回復してたのでご飯食べて帰りました(笑)
この症状はただフルマラソンを走って疲れたのものではないと予感していろいろ調べた結果、もしかして貧血ではないかと予想して病院で検査を受けたところこれがビンゴで、まさに貧血だったことが不調の原因だったことがはっきりとしたのです。貧血って目まいがする程度のものだと思っていましたがこんなにつらいものなのかとおどろきました。
今回お風呂で具合が悪くなったとき、真っ先に思い出したのはこのかすみがうらのときの不調でした。
現在、貧血治療中だということに加え、暑い中50kmを走ったことで鉄分やミネラルが大量に失われたために一時的に貧血状態が悪化してこんなことになってるんだろうなとあたりを付けて、とにかく水分と塩分をとって休むことに専念しました。10分くらいは具合が悪くて散々でしたが、気付いたら症状は回復していました。
原因がわかっていても苦しいものは苦しいのですが、でも原因がなにかわかっていれば不安は感じることはありません。
とにかく水分をとって休んでいればよくなるとわかっていたので気分的にはかなり楽でした。
まとめ
わたしはランナーとしては勉強熱心な方ではないことは自覚していて、転ばぬ先の杖的な感じであれこれ考えて知識を仕入れておくタイプではありません。
壁にぶつかったらその壁について調べ、どうしたらよくなるのかを確認しながらひとつひとつ壁を壊して乗り越えていくようなタイプです。
だから走り始めてから怪我とか病気にかかっている期間が長く、走り始めて4年目になるのにいまだに平凡なタイムしか出せずにいます。走り始めた当初は2年も走ればフルは3時間切れるだろうなと思っていましたが、いまだに3時間15分が関の山です(笑)
そんなわけでなかなか速くも強くもなれないのですが、それでもこうやってひとつひとつ壁にぶつかってはそれを努力で乗り越えていくのは楽しいなと思うし、一度乗り越えた壁が再び現れたとしてもそんなのはもう怖くないと思えることがうれしいと思います。
走ることで得たさまざまな知見が着々と積み重なっていることやその積み重ねが生きていることを実感できることはとても幸せなことだなと思います。
*1:実際にはここにはかぶり水をすることはできず、2km先の次の給水所まで移動してやっと回復しました。熱中症の症状が出たときは頭から水をかぶって全身を冷やすのがおすすめです。
*2:すいません、MK5を意識して書いたのですがすごい分かりにくかったので補足書きます。恥ずかしい...。 MajiでKoiする5秒前/とまどい - Wikipedia