秋田県仙北市(角館)-北秋田市(鷹巣)で開催された北緯40°秋田内陸リゾートカップ 第26回100kmチャレンジマラソン大会に参加してきました。
念願の100kmに挑戦してきました。
結果
手元の時計で測ったネットタイムです。
- 5kmごと
距離 | 時間(1kmあたり) | 合計時間 | 補足 |
---|---|---|---|
-5km | 31:19(6:15/km) | 00:31:19 | - |
-10km | 30:28(6:05/km) | 01:01:47 | - |
-15km | 29:23(5:52/km) | 01:31:11 | - |
-20km | 30:29(6:05/km) | 02:01:41 | - |
-25km | 29:54(5:58/km) | 02:31:36 | - |
-30km | 30:22(6:04/km) | 03:01:58 | - |
-35km | 30:18(6:03/km) | 03:32:16 | - |
-40km | 32:33(6:30/km) | 04:04:50 | - |
-45km | 32:45(6:33/km) | 04:37:35 | - |
-50km | 40:48(8:09/km) | 05:18:24 | 10分休憩 |
-55km | 30:27(6:05/km) | 05:48:51 | - |
-60km | 35:46(7:09/km) | 06:24:37 | - |
-65km | 37:00(7:24/km) | 07:01:39 | 記念写真を撮ってもらう |
-70km | 33:56(6:47/km) | 07:35:35 | - |
-75km | 34:35(6:55/km) | 08:10:11 | - |
-80km | 39:29(7:53/km) | 08:49:41 | - |
-85km | - | - | 計測もれ |
-90km | 1:18:04(7:48/km) | 10:07:46 | - |
-91km | 07:54/km | 10:15:40 | - |
-92km | 07:43/km | 10:23:23 | - |
-93km | 06:53/km | 10:30:17 | - |
-94km | 07:26/km | 10:37:43 | - |
-95.4km | 11:04(7:54/km) | 10:48:47 | - |
-96km | 05:21(8:54/km) | 10:54:08 | - |
-97km | 10:07/km | 11:04:16 | - |
-98km | 8:57/km | 11:13:14 | - |
-99km | 9:52/km | 11:23:07 | - |
-100km | 6:37/km | 11:29:44 | - |
- 10kmごと
距離 | 時間(1kmあたり) | 合計時間 |
---|---|---|
-10km | 01:01:47(6:10/km) | 01:01:47 |
-20km | 00:59:52(5:59/km) | 02:01:41 |
-30km | 01:00:17(6:02/km) | 03:01:58 |
-40km | 01:02:52(6:17/km) | 04:04:50 |
-50km | 01:13:34(7:21/km) | 05:18:24 |
-60km | 01:06:13(6:37/km) | 06:24:37 |
-70km | 01:10:58(7:05/km) | 07:35:35 |
-80km | 01:14:06(7:24/km) | 08:49:41 |
-90km | 01:18:04(7:48/km) | 10:07:46 |
-100km | 01:21:58(8:11/km) | 11:29:44 |
歩数(歩) | 平均ストライド(cm) | 平均ピッチ(歩/秒) | 平均ピッチ(歩/分) |
---|---|---|---|
120,904[歩] | 82.7[cm] | 2.9[歩/秒] | 172.5[歩/分] |
合計:100km/11:29:44(6分53秒/km)
時計を止めるのを忘れてたので実際のタイムは11:30くらいです。公式な記録が出たらブログも更新します。
現時点では順位も不明ですのでこちらもあとで更新予定。
2016年10月14日に記録が公開されましたのでタイムを正式なものに差し替えました。
順位は完走者502人中149位でした。
走った感想
距離表記は5kmごと+90km以降は1kmおきにありましたが今回は10kmごとにまとめます。
- コース図
- 高低差図
スタート前
今回は初の100km参加ということで前後の移動を含めた細かい部分についてもちゃんと書きたいのですがそちらは後日別エントリーにします。このエントリーでは結果をメインでみまとめることにします。
今回は会場までの移動も含め、事前の行動がかなりスムーズにできたのでスタートには余裕をもって臨めました。
3:00から始まる当日受付は3:10には済ませ、食事や荷物預かり、トイレなんかも混み合う前に全部済ませることができました。いつもギリギリなわたしにしては珍しく順調な出だしです(笑)
スタート20分くらい前からみなぞろぞろと並び始めたのでとりあえず目標タイムが11時間くらいのところに並んでスタートを待つことにしたのですが普段とは違って周囲はめちゃくちゃ暗くてそれだけでもかなりテンションが上がりました。ちなみに外はまだ暗かったのですが、スタートゲートおよび会場付近には工事用と思わしき強烈なライトが設置されていたので暗くて足元が見えにくいとか危ないとかそういうことは一切なかったです。ライト近くは目が痛くなりそうなくらい明るかったです。
会場内ではずっとゼッケンと申し込み時に書いた意気込みがぽつぽつと読み上げられていたのですが、10分前からカウントダウンが始まり、予定どおり4:30にスタートしました。そしてスタートの号砲と同時にものすごい爆音で打ち上げられる大量の花火!
「まだ朝の4:30だし近所には普通に家もあるしこんな爆音で花火を連続してぶっ放したらあとで怒られるんじゃないの?」と一人で不安になったのですが、周囲を見ると誰もそんなことは考えていないようでみんな花火に大喜びしてました。そりゃ花火はうれしいんだけど、近隣住民の気持ちを考えると喜べないなあ...と思いながら100kmのスタートラインを超えたのでした。
スタート~10km (1時間1分47秒)
スタート会場は角館駅の近く(徒歩2分くらい)でして、コースはその駅前を通って駅前商店街へと抜けていきます。スタート直後にコース脇にいたマコ*1とハイタッチして100kmの旅へと旅立ちました。
朝の4:30だし住宅街や商店街は静かに走らないとな...と思いながら走っていくと、なんと商店街のあちこちに既に町の方々が出てきて応援してくれていました。こんな時間から応援してくれる人がいるとは思わなくてびっくりしたのですが、でもたしかにあの花火の音を考えたら「寝ていて不意に花火をぶっ放されるよりは起きていたほうがマシかも知れないな」なんてことを考えてしまいました。
いや理由なんてどうでもいいのですが、とにかく朝から応援してくれたことがとにかく意外だったし意外だった分とてもうれしかったです。
さらに商店街から武家屋敷を抜けて行くと、武家屋敷のある通りが灯篭できれいに飾られていてとてもきれいでした。武家屋敷周辺はすごく暗かったので余計この心遣いはありがたかったです。
さて。今回の走るペースですが、まずはペースは決めずに走ってみることにしました。
というのも100kmを走るペースというのがわたしにはまったく想像がつかなかったので、まずは楽に走れるペースを模索してみようと考えました。そのため、スタートしてから一貫して「このペースだったらいつまでも走っていられそうなペース」を体と相談しながら決めて走ってみました。
最初の5kmを走った感触としてはキロ6分ペースならかなり楽に走れることがわかったので当面はキロ6分で走ることに。
正直なところを言えば10時間は切りたかったのでキロ5分30秒くらいで走りたかったのですが、100kmを完走するためには30kmまではまったく疲れのない状態で走りたかったのでまずはキロ6分で走りとおすことにしました。もし余裕があったらそのときにペースを上げればいいだけで、最初から無理をするのはよくないなという判断です。
少し話を戻して国道105号線に入ってからは建物の少ないひたすら開けている直線道路を走るのですが、まだ日の昇らない真っ暗な中を集団で黙々と走っているという非日常がとても愉快で徐々に興奮してきました。上を見上げると月や星がきれいに見えて、「ついに100kmが始まったんだな」という気持ちを新たにしてくれました。
さらに沿道にはこんな朝早くからところどころで応援の方が立ってくれていました。
朝5時前からすごい...。
声をかけていただいた人にもそうでない人にもひとりひとりありがとうございますとお礼を言いながら走っていたらあっという間に10km地点へと到達。10kmのタイムを確認して「今回はキロ6分ペースで行こう」という決意を新たにしました。キロ6分めちゃくちゃ快適です。
10km~20km (59分52秒)
10km地点を過ぎるとすぐにエイドがあったので最初の給水。そして今回持ち込んだゼリーを1つ食べました。
スタートから1時間経つと徐々に明るくなる兆しが出てきてずいぶんと走りやすくなりました。
暗いと足元が見えにくかったり他の人との接触が怖くて周囲への警戒が大変だったりとなにかと気疲れしやすかったです。非日常感が薄れていくのはさみしかったですが明るくなってきてホッとしました。とりあえず周囲の人たちと一定の距離を保ちつつ、ペースはかたくなにキロ6分を維持。このあたりで体が温まったのか徐々にペースを上げる人が増えたことはよくおぼえていますが、そのペースに惑わされないように体感でペースを維持。わたしもだいぶ足が軽くなってきてペースを上げたかったのですが、中盤の坂のことを考えてペースアップは我慢しました。
13kmあたりを過ぎると何となくアップダウンが目立ち始めますがペースは落とさずキロ6分をキープ。
大したことのない坂ばかりでしたが周囲はペースを落とすのでここではかなり人を抜きました。普段なら喜ぶべきことなんですが、こと100kmに関してはあまりたくさんの人を抜いていると私のペースが速すぎるんじゃないかと不安で不安でしょうがなかったです。
とは言え、ペースを遅くする理由もないのでキロ6分でひたすらペース走。
18km近くにあったエイドでトイレへと行って2分ロスした以外はとくにペースを乱す要素もなく淡々と走ることができました。
20km到着時点ではまったく疲れもなかったので「このまま50kmまではいけるかな?」と考えたりもしていました。
20km~30km (1時間00分17秒)
20kmを過ぎたところで2つめのゼリーを投入。
ここからはアップダウンが続くようになります。上っては下り、下っては上るの繰り返しでしたが、斜度がそんなにきつくなかったのでここらへんはペースを崩すことなく走り続けることができました。
ただ、このあたりから寝不足による体調不良が顕在化しだして、ときおり吐き気と倦怠感に見舞われるようになりました。
スタートしたときから睡眠不足による不調の種みたいなものが自分の中にあることは気づいていたし気になってはいたものの、違和感程度だったので無視してきましたがここにきてそれがやや強めに自己主張を始めたようでした。そうは言ってもこればかりはもう我慢するしかないので給水所でもらった水で顔を洗ったりして気分転換してごまかしました。
いつも嫌なことをごまかして生きてきたのでこういうのは得意です(笑)
この不調が原因なのか走っているのがつらい区間がありましたが、やりすごしているうちにあっという間に気にならなくなってペースを維持することができました。思い返してみれば結構しんどかったと思うし、ここが最初にぶつかった壁だったような気がします。
30km~40km (1時間02分52秒)
30kmを過ぎてすぐにゼリーを1つ消費。ここからは峠攻めの序盤戦が開始。
序盤戦は斜度自体は大したことのない坂ばかりなので余裕で上っていたのですが何度も繰り返されるとさすがにうんざりしてきます。ただ、そこはあちこちの坂で鍛えた走力を存分に発揮してひょいひょいと上っていきました。何と言ってもペースがキロ6分と快適ペースなので上りがぜんぜん苦ではないし、むしろ上りのほうが気持ちよく走れるんじゃないか?というくらい走っていて楽しかったです。
そういえば、30km到達時点でまだ7:30ということにちょっとびっくりしたというか「こんなに走ってきてもまだ朝の7時w」と思わず笑ってしまいました。普段ならまだ寝てるわ...。
そして37kmのエイドを過ぎたあたりからは本格的な上りになります。
エイドで軽く休んでから走り出したのですが100mも走らないうちに靴ひもがほどけてきたので座って結びなおしたのですが、座りながら坂を眺めてたらわりときつい坂だなーという印象を受けました。どうやら傾斜は7%とわりときつかったみたいですが、キロ6分というペースはキープして走り続けます。このペースほんとうに快適です。
途中で靴の中に小石が入ってしまったので取り除くために2度立ち止まった以外はとくに問題なく走れましたが、このあたりから徐々に日差しが強くなる気配が感じられて暑くなったらキロ6分を維持することは難しそうなのでペース配分の見直しが必要かなという気がしてきました。
40km~50km (1時間13分34秒)
40kmを超えても断続的に上りが続きます。
いくらペースが遅いとは言え、ここまでほぼフルマラソンと同等の距離を走ってきたということもあって40-42kmの上りはかなりきつく感じました。途中で酒田から来たという方がわたしのTシャツ(鳥海山の登山マラソンでもらったTシャツを着てた)を見つけて話しかけてくれたので少し話をしながら走ったので気が紛れてよかったです。
その方は今回で3回目の参加だそうですがたしかに走りなれてるなという印象を受けました。
コースのことを聞いたり最近出た大会の話をしたりしてすごく楽しかったのですが、こののぼりをさっさと上り切りたかったので「先に行きます」と声をかけてそのままスルスルと上っていきました。あと2kmくらいだしこのまま最高到達点である42kmまでいけるかな?と思ったのもつかの間、41km付近で腰が痛くて走れなくなりました。上りで無理をしたときにはよく痛くなりますが、まさにそれでした。
あと1kmだしがんばろうと腰に手を当てながら走り続けたのですがどうしても痛みには勝てず、そしてここからまだ58kmも走らないといけないという事実と向き合って頂上までは歩くことにしました。ここまでいいペースで走ってたのですごく残念ですがしょうがないです。
痛みがおさまったかな?と走り出すとまた痛むので歩き、100mくらい歩くとまた痛みがなくなった気がして走り出すとすぐに痛くなって歩くということを繰り返しながらてっぺんまで上りました。この間、誰にも抜かれなかったのでみんなここは苦しかったみたいです。
ヘロヘロになりながらもなんとか最高到達点にたどり着くと、一転して今度はものすごい下りになります。
下りはじめてすぐにエイドがあったのでそこでいったん休憩。水をかぶって給水してさあ走ろうかと思ったところで、そういえばリュックに入れてた携帯をまだ一度も見てないことに気付いたので取り出して確認してみました。実は今回、走っている場所をいろんな人に伝えたくてLINE HEREというアプリケーションを使っていたのですがそれがちゃんと動いているのかどうかを確認しました。確認したところ、残念ながらまったく活躍していなくてつまりまったく位置を共有できていませんでした。LINE HEREのことについては改めてエントリーを書こうと思うのでそちらに任せることにしますが、とりあえず今回はこれを使った位置情報の共有はほとんどうまくいかなかったということだけを書き記しておきます。
そんなわけでLINE HEREは残念な結果でしたが、家族や知り合いからLINEやメールが入っていたので休憩も兼ねてここで送ろうとしたのですがなんとネットワーク圏外でひとつも送れませんでした。いろいろさんざん過ぎる(笑)
とりあえず送るだけ送ってあとはネットワークがつながったときにリトライ機能が働くことを祈って改めて走りだします。
そこからは延々と続く下りでしたがこのくだりがまためちゃくちゃきつくて徐々に足への負担がシャレにならないレベルできつくなってきます。一歩踏み出すごとに大腿部の前のほうに負担がかかり、だんだん足を前に出すのがきつくなってきたなと感じていたのですが、そのうち足が前に出せなくなっていることに気づいて愕然としました。
走る前は「42kmで上りが終わったらあとは下りだから楽勝だな!」と思っていたのですが、実際には上りよりも下りの方がきつく感じたし正直下りの怖さを甘く見ていたことを後悔しました。
これから先が長いことも考えて下りで無理をするのは得策ではないと判断して45km前後で歩くことにしました。このまま下ったらもう足がもたないという判断でしたが、周りにもそう感じた人が多かったようでこの区間ではあまり追い越されることもありませんでした。歩いたのは時間にして2,3分くらい。
そこからも飛ばし過ぎず、でもあまりブレーキもかけすぎずを心がけて走り続けて47km過ぎの給水所に到着。
このあたりにエイドがあったはずだと思ってスタッフの方に聞いてみるとあと1.2km先にエイドがありますとのこと。そこがドロップバックが置いてある中間エイドなので給水もそこそこにそこに向けて再度走ります。
エイドまであと1.2kmだからすぐそこだ!と思って走り出したものの、意外に長くてなかなかエイドは見えてきません。そしてそこでなぜか焦ってしまったわたしはここでペースをぐっとあげてしまい、エイド直前のトンネルの中ではキロ4分台で走ってしまいました。失敗した...。
トンネルを抜けて少し走ると念願の中間エイドである阿仁比立内に到着しました。
やっと着いた...。
ここでマコが待っていると言っていたので探したのですが見つからず、しょうがないのでLINEを送っておいてその間にドロップバックを取りに行きました。スタッフの方が遠目にわたしのナンバーを見て事前に探しておいてくれたのかそばまで行くとすぐにドロップバックを手渡ししてくれてありがたかったです。
今回はドロップバックには後半用のゼリーと汗を拭くためのタオルを入れておいたので、タオルで汗を拭きながらリュックにゼリーを詰め直しました。そして50km地点で飲むつもりだったゼリーを飲みながらドロップバックを元に戻す準備をしているとマコが歩いてくるのが見えました。どうやら沿道でランナーを応援していたようです。
5時間ぶりに会ったら何だか懐かしくて思わず笑ってしまったのですが、知った顏を見たことでホッとして座り込んでしまいました。
そんなわたしの様子を見た隣に座っていたランナーが「なんか居心地よくて行きたくなくなっちゃいますよねー」と話しかけてきてくれたのですが、本当にこのままゆっくりしていたいなあ...なんて思いながら5分くらい雑談をしてのんびりしてしまいました。
とは言え、このまま座っていても競技は終わらないしそもそもまだ半分しか走っていないわけですから早く出発しなきゃ!ということでドロップバックを預けてまた走り出しました。このときはまさかこの後あんなことになるとは思ってもいませんでした...(意味深)
エイドを出て少し走ったらすぐ50km地点でした。
50km~60km (1時間06分13秒)
50km地点を過ぎるといかにもランナーっぽいけど走っていない人たちがワラワラと歩いているのが見えました。
なんだろう?とよく見てみると50kmコースのゼッケンをつけた人たち。わたしが50km地点を過ぎたのは9:40くらいでしたが、50kmはスタートが10:30だからまだスタートしていないようでした。40分後に50kmの人たちが出発したら、たぶんその1時間後くらいにはたくさん抜かれるんだろうな...と考えたらちょっと悲しくなりました(笑)
さて。ここからは下り基調だったのですが、そこまで下っているという感じはせずなだらかな下りで走りやすかったです。
が、今回一番の壁はこの50km地点を過ぎた直後に訪れました。
走りながらこれから走るペースについてあれこれ考えていたのですが、不意に「ここまで50km走ってきたけど、ここからまた50km走らないといけないのか...」と考えた瞬間に本気でこれ以上は走りたくないと思ってしまいました。足の疲れはそれほどあったわけではないのですが、それでもそこそこクタクタだったし朝の4:30から9:30まで5時間かけて走ってきた距離と同じ距離をいまこの瞬間からまた走らないといけないと考えたときに、そのあまりの大変さに心がポキリと折れてしまいました。
数分前までの気力というか完走に向けた意欲が嘘のように無くなり、もうこれ以上走りたくないという気持ちでいっぱいになってしまったわたしは思わず道端に座り込んでしまいました。マラソンはフィジカルよりもメンタルが大事だというのはわかっているつもりでしたが、ここまで大きく影響を受けたのは初めてでした。
足が痛いわけでもないのにまったく前に出なくなりました。体全部が走ることを拒否していました。
リタイアしたら内陸縦貫鉄道に乗って帰るか、それとも回収車に乗って帰るか。
この大会は走路が内陸縦貫鉄道沿いになっていて、ランナーや応援の人たちは終日鉄道に無料で乗ることができます。
だからお金をもっていなくても電車には乗れるし、走路沿いに駅があるので嫌になったらそこで電車に乗ってリタイアすることもできるという、親切なようでいて悪魔のような恐ろしいシステムを導入しています。リタイアした人たちを回収するバスもバンバン走り回っていていつでも乗れるし、リタイアしたいと思った人にとっては誘惑の多い大会なのです。
今のいままでそんなことにはまったく気づかなかったのですが、いざリタイアしたいと思いついたらリタイアする手段の多さにびっくりしました。どうりで完走率が低いわけだ...。この大会の感想率の低さについては、制限時間がやや厳しい*2ことが原因かと思っていましたが、リタイアへの誘惑の多さが原因ですね。
そんなわけであっという間に気持ちはリタイアへと傾き、マコと上司にLINEで報告してしまおうと思ったのですが、さすがに数分前にあったばかりのマコにいま止めるというのは言いにくいなと思ったしそもそも50kmでリタイアするのはかっこ悪いなと思い始めました。せめて今まで走ったことのない距離まで走ってから止めようと決心しました。今年の4月に60kmは完走済みなのでせめてそれよりは長い距離を走っておきたいなということでとりあえず65kmを目標にしました。
5分ほど座り込んでいましたがとりあえず立ち上がって走ろうとしたのですが、どうしても走る気にならなくてとぼとぼ歩き始めました。
歩いていると後ろからどんどん追い越されるのですが、もはや完走への執着心もなくなったためかまったく悔しくなかったし早く65km地点まで行きたいなと思いながら歩き続けました。どれだけ歩いたのかわかりませんが、ふと気づくと足がかなり軽くなっていて歩くよりも走りたいと感じるほど回復していました。
とりあえず走れるところまで走ろう。
ここからさらに50kmを走って完走しなくてもいい。
そう思ったら少し気が楽になったのでペースを気にせず気の向くままに走りだしました。もうキロ6分なんてケチなことは言わないで好きなペースで走ったらいいじゃん!ということで好きに走ったらさっき追い越された人たちをあっという間に全員追い越してしまいました。先のことを考えずに走るのは楽しいなあ...なんてバカなことを考えながら走っていたらあっという間に次のエイドに到着しちゃいました。
時刻は既に10:00を過ぎて日差しもだいぶきつくなってきていたので水をかぶって給水したのですが、暑そうにしているわたしを見てエイドにいたおばちゃんたちが話しかけてくれました。どこからきたの?とか秋田どう?とか今回走るのは何回目なの?とかいろいろと聞かれたのですが、そのひとつひとつに答えたりこちらから大会やこの地区のことをいろいろと聞いたりしているうちに、いまもしかしてめちゃくちゃ幸せな時間を過ごしているんじゃないか?と気づいたのです
今日こうやって秋田まできて100kmを走っていることも、50km以上の長い距離を走っているのにまだこんなふうに楽しく会話できることも、そもそもこんなふうに見知らぬ者同士が出会ったこの一瞬だけの楽しい時間を共有できていることも全部が奇跡のような気がしたのです。
もちろんだからと言ってすぐにゴールまで目指す気持ちにはまだなれませんでしたが、とりあえずもう少しちゃんと走ろうと決心してエイドを後にしました。そこからは心を改めてひたすらキロ6分ペースを維持するようがんばりました。
60km~70km (1時間10分58秒)
60km地点を過ぎたところにあったエイドでゼリーを取ろうとしたのですが、おばちゃんたちと雑談で盛り上がったら取り損ねてしまって63kmまでゼリーなしで走りました。おばちゃんたちの雑談力ハンパない...。実家と今住んでいる栃木のことをを根こそぎヒアリングされました。
このエイドではちょっと休みすぎたのでペースを上げてキロ6分を切るくらいで走ってみました。
50kmを過ぎたところからずっといつ止めようか考えながら走っていたのですが、エイドのおばちゃんたちとの会話で癒されて、沿道からの応援に励まされているうちに少しずつですがゴールを目指そうという前向きな気持ちもわいてきていました。でもあと35km近く走りたくないな...というのも正直な気持ちでして、どうしようかずっと悩んでいました。
そんなふうに考え事をしながら走っていると阿仁支所前のエイド近くのコース脇にマコを発見しました。
どうやら移動で使っていた電車で乗り継ぎ待ちが1時間ほどあるらしく、その時間を使って沿道で応援していたようでした。当初、この場所で会う予定はまったくなかったのでかなりびっくりしました。
少し立ち止まって話をしたのですが、話しながら「こんなふうに家族が電車を乗り継いでまで走っているのを応援してくれてるのってすごいうれしいことだよな」なんて考えたら、せっかく応援してもらっているんだしちゃんとゴールまで走ろうとここで気持ちが決まりました。あと35kmも走る自信はなかったけれど、でも自分のわがままで参加しているんだからゴールするのが正しい責任の取り方だと覚悟を決めました。
再度走り出してからはキロ6分を少し超えるくらいのペースでひたすら走り続けました。
急に上り坂が出てきたりしてペースが落ちることがありましたが、おおむねフラットペースで走れました。
70km~80km (1時間14分06秒)
70km~80kmはほとんど記憶がありません(笑)
お昼くらいだったのでかなり暑くてエイドと給水所で毎回水をかぶっていたことはおぼえていますが、それ以外はあまり記憶がありません。
はっきりとおぼえているのは75km近くでマコが乗ったであろう電車が横を通ったので「マコが乗ってるかな?」と思って電車に向かって手を振ったら電車に乗っている人全員が手を振ってくれたことです(笑) 肝心のマコがどこにいるのかわからなくて探しながらずっと手を振っていたのですが、なぜか電車に乗っている人たちもずっと手を振ってくれて思わず笑ってしまいました。
しかもその電車は、少し先にあった鉄道橋の上でほぼ停止しているレベルで徐行しながらランナーを応援してくれていました。
え?そんなことしてもいいの?とびっくりしたのですが、そういった配慮がとてもうれしくてそこでもわたしはずっと手を振ってしまいました。うれしかったし楽しかったし、50kmで止めようと思ったけどここまで走ってきてよかったなと心底実感しました。
あとは76kmのエイドで家族と元上司に「76kmまで来ました」というLINEを送ったこともおぼえています。LINE HEREが使えないと分かった以上、定期的に報告しない限りはどこまで走ったのかわからないのでひとまずここで報告しました。
この区間は、5分歩いたら5kmをキロ6分で走るという繰り返しをしてひたすら歩を進めました。
80km~90km (1時間18分04秒)
80km地点を過ぎたところでゼリーを取ったのですが、気持ち悪くなってしまいました。胃がだいぶ弱っているようです。
81kmにあるエイドでおばちゃんがわたしの着ているTシャツに目をつけてあれこれ聞かれました。
実家と学生時代は山形に住んでいたことといまは結婚して子どもが2人いることを話してしまいました。おばちゃんにはもう孫もいるそうで最近生意気になったとかそんな話をしていたのですが、気付いたら初対面の人からうまく情報を引き出して雑談をしてしまうおばちゃんのコミュニケーション能力にはただただ感動しました...。すごいな。
走り出し際におばちゃんから「この先、走っても走っても進んだ気がしないくらいめちゃくちゃ長いストレートの道路があるけどそこ超えられたらもう余裕だからとりあえずがんばれ!」というアドバイスのようでアドバイスになっていないコメントをいただいて走り出しました。
どういうコースなんだ...とビビりながら走っていくと、たしかにやたら長い道路がありました。おばちゃんの言うとおりたしかにめちゃくちゃ長くてぜんぜん進んだ気がしなくてうんざりしたのですが、アップダウンがなくフラットだったので8割くらいは走ることができたので長いけど楽な部分でした。風はちょっと強かったかな。
この区間は2,3分歩いたら5kmをキロ6分で走るという繰り返しで何とか乗り切りました。
ここまでくると周りにいる人たちはだいたい同じ顔触れというか、追い越したり追い越されたりはするもののもはや競うべき相手ではなくいっしょにゴールを目指す仲間のような感じになっていました。100kmの人だけではなく50kmの人たちも同じでして、お互いに追い越すときには越すほうががんばりましょうねーと相手に声をかけたりしながら走りました。
90kmの看板を見たときはうれしくてちょっと泣きそうになりました(笑)
90km~100km (1時間21分58秒)
90kmを過ぎたところで最後のゼリーを飲もうとしたのですが、胃が弱りすぎてて何も受け付けなかったのでゼリーは半分だけ飲んであとは残すことにしました。このエネルギーで最後の10kmを乗り切らないと...。
残りわずか!と意気込んでは見たものの、またもや上りは出てくるし上った分下るしで足は常に悲鳴をあげている状態が続きます。
それでも上りは歩きつつ下りは走ってキロ7分30秒ペースを維持していたのですが、93km地点を過ぎたところでストレッチをしたところ足がつってしまったためにこれ以上は走ることもかなり厳しくなりました。今までこんな長い距離を走ったがことないうえに今日は本当に暑かったので、ここまで一度もつらなかったことが奇跡だと言っていいくらいだよなと自分を慰めながら再度走り始めました。
つってしまった右足には注意を払いつつ、できる限りのペースをキープ。
大館能代空港の下の道路をくぐり抜け、道路を渡って直進してしばらく走ると残り3km地点直前で最後のエイドがありました。
ここでは麦茶と水をいただいてストレッチをしてから再度走り出します。
残りはたった3km。でもその3kmが果てしなく長い...。胃が弱り切っているためか不定期に吐き気がひどくなってその都度立ち止まって休み、落ち着いたら走るということを繰り返して歩を進めます。
大通り沿いを曲がって住宅街へ入ったところで残り2kmの表記がありましたが、そこでも沿道では多くの方が応援をしてくれていて本当に励みになりました。90kmくらいまでは沿道の人にお礼を言ったりハイタッチをしたりする元気がありましたが、ここまでくるともうお礼を言うのもつらくて手を振るくらいしかできませんでした。
交通整理をしてくれているスタッフの方や沿道からの応援に元気づけられて走り続けると鷹巣駅前の商店街に入るところで残り1kmの看板を発見。あと1km。
もう歩くのもつらいほどヘロヘロでしたが、商店街でもたくさんの方々が応援してくれてうれしかったし、ゼッケンと名前を確認してもうすぐゴールすることを町中に放送してくれてすごくうれしいやら恥ずかしいやら複雑な気分になったりしました(笑)
ゴール直前になると大勢の人たちが沿道に並んで応援で盛り上げてくれ、そして鷹巣の大太鼓でゴールをお祝いしてくれました。
ゴール前、50mくらいのところでマコや子どもたち、そして両親が待っていてくれたので手を振ったり長女にハイタッチをしたりしてからゴール。11時間30分というふがいないタイムではありましたが、でも50kmを走った時点では完走なんて絶対にできないと思っていたのでこうやってゴールテープを切れただけでも本当にうれしかったです。
ちなみにうれし泣きはしてませんw
まとめ
そんなわけで無事100kmを完走してきました。
と言っても途中で何度も歩いたし、自分の中では完走とはちょっと言えないなあ...と思っています。自分自身が「最後まできっちり走り切った!」と言えるようなレースができなかったことはすごく悔しいなと思っていますが、でもまあ最初だしゴールできたことをまずは喜ぼうとも思っています。
いろいろと思うところはありますが、100kmマラソンで制限時間内にゴールできたというのはうれしいです。
さて。今回走ってみて感じたのは大きく2点。
睡眠不足は最高にきつい
今回は宿舎がスタート地点の近くに取れなかったために、前日の23:30に起き出して現地へ移動しないといけませんでした。23:30に起きるためにはかなり早めに寝なければならなかったのですがそんな時間にすんなり眠れるわけもなくて結局一睡もしないままスタートラインに立つことになりました。
睡眠不足で走ったことと言えば、昨年11月の神戸(フル)や今年4月の焼津(ハーフ)で似たような経験があります。
どちらもスタートしてすぐにスタミナが底をついてしまってタイムは散々でした。
今回もスタート時点ではさほどつらくはなかったものの、20kmを過ぎたあたりから寝不足による体調不良を感じることが多くてかなり厳しかったです。ちゃんと睡眠を取ってスタートできたらもう少しちゃんと走れたかもしれないなと思うと少し残念です。
自分にとって100kmはレースをできる距離になっていない
100kmを走ってみて感じたのは、まだこの距離を自分のものにできてないなということでした。
今年の4月に60kmを走ったのですが、あのときは最初から最後まで歩かずにちゃんと走れたしラスト2kmはキロ4分台で走る元気がまだ残っているほど余裕な状態で完走できました。あれくらいちゃんと走れたら「60kmを自分の距離にできている」と言ってもよいと思っています。
自分が決めたペースで走りとおせる距離がどのくらいなのか?というのは常に気にしているのですが、今回走ってみて100kmはまだまだそのレベルに達していないなと実感しました。今回初めて100kmを走ったので当たり前と言えば当たり前なんですが、自分はまだまだウルトラランナーとは呼べないなと思いました。わたしは走力が60km以上100km未満のランナーなんです。
しばらく100kmは走りたくありませんが(笑)、次走るときには最初から最後まで走りとおせるようにしっかり練習してのぞみたいと思います。
最後に
初めてのウルトラマラソンをどこで走るのか?
ウルトラにはいろいろと魅力的な大会が多かったのですが、いくつかピックアップして並べてみたら自然とこの秋田内陸リゾートカップを選んでいました。最後まで悩んだのは白川郷と能登、東尋坊でしたが、初めて走る100kmの大会は?と考えたら悩む余地はさほどありませんでした。
秋田内陸リゾートカップについていろいろと事前に調べてみたのですが、「インターネットでの申し込みができない」「大会に関する情報が少ない」「コースがわりと厳しい」「完走率が異様に低い」とネガティブな点が目立っていました。
この中でコースが厳しいとか完走率が低いとかそういう点が気にならなかったのかというともちろん気にはなったのですが、でも100kmマラソンなんてたぶんどの大会に出てもそれなりに厳しいと思うし、楽に完走できる大会なんてひとつもないだろうと思っています。それだったら走りやすさとか完走率とかそういう部分よりも、自分が走りたいと思う場所にこだわりたいなと思ったしそれが生まれてから18年間住んでいた秋田という場所でした。
ひさしぶりに秋田の人たちに囲まれて秋田弁で会話しながら走ることができて最高に幸せでした。
たぶん秋田じゃなかったら完走できなかった気がするし、それを思うだけでもここをウルトラの初戦に選んでよかったです。
スタッフのみなさん、沿道で応援してくださった地元のみなさんを含め、今回のこの大会開催に関わってくれたすべての方々に感謝したいです。本当にありがとうございました。人生で一番つらい大会でしたが、一番記憶に残る楽しい大会でもありました。
もっともっと強くなってまたいつかここで100kmに挑戦したいです!
(過去に参加したウルトラマラソンの結果)
大会名 | 日付 | 距離 | タイム | 前回差 |
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杉戸ウルトラ60K練習会(2016) | 2016/04/03 | 60km | 5時間38分秒 | - |
第10回歳の鬼あし多摩川ランニング | 2016/05/08 | 50km | 4時間47分07秒 | - |
第26回100kmチャレンジマラソン大会 | 2016/09/25 | 100km | 11時間29分44秒 | - |
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