先日こんな記事を読みました。
マラソンのモチベーションが低下しているランナーの皆様へwww.info-jog.com
内容というか主張はとてもシンプルでして、「タイムを追いかけ過ぎて走ることが嫌いになるのはもったいない」というお話です。
ただ、ここまでシリアスランナーの方々が増えると、どうしても「速ければすごい」という声や雰囲気が出てくるのも現実にあります。
走るのが速いとうことは才能だけの方もおられるでしょうが、絶え間ない努力を続けてきたからこそ。努力というのは素晴らしいことだと思います。
ただ、速さを求めるあまりに、伸び悩んだ時に走ることが“義務感”になってしまったりだとか、“なんとなく距離を稼ぐ”なんてことにはなってほしくないんです。
マラソンのモチベーションが低下しているランナーの皆様へ | Runjoy magazine
ランニングブーム、マラソンブームと言われて久しいですが、痩せたいからとか健康のためにという名目で走り始める人はわたしの周りにもたくさんいます。何となく走り始めた人が何かの拍子にわたしも走っていると知ると*1「走るときはどういう靴がいいか」とか「普段はどういうコースを走っているのか」ということをよく聞かれるのでその都度答えるのですが、次に会ったときに走っているかどうかを聞くと半分以上の人はもう走るのを止めていたり、しばらく走っていないと言われます。
一般的なランニングの継続率ってどのくらいかな?と調べてみたところ、こんなデータがありました。
走り始めて1年経過したときに継続できていない人が71%ですから1年たたずにやめる人の方が圧倒的に多いようです。
この数値はわたしの実感と照らし合わせてもさほど違和感のない数値だと感じます。だいたいこんな感じです。好きで走り始めたならともかく、痩せたいとか体力を付けたいという効果を期待して走り始める人がほとんどでしょうから目的を達成できる別の良い方法が見つかればそちらに乗り換えることは何も不思議ではありません。走ることは単調でつまらないとよく言われますし、慣れるまではそうだろうなと思います。
このデータを見てもわかるとおりおそらく途中で走るのをやめる人の方が普通なんだろうなと思いますし、つまり「走るのをやめる」ことには何か理由があるわけではなくて逆に「走り続けられる人には何か理由があるから続けられる」と考えるのが妥当だと思います。
ただ、走り続けることを選んだ人にはその人それぞれ理由があってこれだという唯一の答えなんてないとも思っています。なので、ここではわたしが続けられた理由について書こうと思うのですが、わたしが走ることを続けられたのは「成長を実感できること」と「達成感を味わえること」の2つが走り続ける理由としてあるかなと思っています。
成長と達成感。
まず1点目の「成長を実感できること」ですが、わたしにとっての成長とは「より速く走れるようになったり走り続けられる距離が延びること」です。
走り始めた当初はみんなそうだと思うんですが、ぜんぜん速く走れないし止まらずに走ることができる距離は短いです。
最初のころは1kmを全力で走っても6分以上かかっていましたしそれですらきつくて途中でばてて立ち止まってしまうこともよくありました。
じゃあゆっくり走ったらもっと長い距離を走れていたのかというとそんなこともなく、5kmどころか2kmでさえも走れませんでした。わたしが初めて走ったときのことなんですが、とりあえず走れるところまで走ってあとは歩いて帰ろうということでがんばって長い距離を走ったつもりで意気揚々と帰宅したのですが「今日は2kmくらいは走れたかなー」と地図で距離を確認したらなんと500mしか走ってなくてがっかりしたことがあります。
かなり前のことなんですが「2kmってこんなに長いのか...」と愕然としたことはよくおぼえてます。
それからもちょこちょこ走っていたのですが、走る距離はなかなか伸びなくて3kmを走るのがやっとでした。
当時は週に2日も走ればいい方で、しかも毎回2,3kmしか走らないので速くも強くもならなくて当然なんですが、そんなとくに成長の実感もない状態でしたので仕事が忙しくなれば自然と走らないようになってしまって半年くらい走らないことも当たり前でしたし、ランニングを続けていたとは胸を張って言えるような状態ではありませんでした。
もともとは体重が増え過ぎないように運動したかっただけで、走りたくて走っていたわけではないので当然と言えば当然なんですが、走り続けるモチベーションも理由も何もありませんでした。
転機となったのは3か月くらい続けて50kmくらい走れたときのことでした。
ぐうぜん仕事が暇になったので毎週10kmくらい走ることを3か月くらい続けたところ、走れる距離がぐっと伸びて5kmまでは走れるようになり、走るペースもめちゃくちゃ速くなりました。その当時はアナログの時計しかもっていなかったのでちゃんと計測したことはなかったのですが、走り始めた当時は30分くらいかかっていた4.6kmのコースを20分かからずに走りきったときに「あ、おれめちゃくちゃ速くなってる」と実感しました。
その後、またもや仕事が忙しくなってちょっと走ることから遠ざかった時期はありましたが、成長を実感できる楽しさを一度おぼえてしまったわたしは忙しさがひと段落つくとまた走るようになり、いつしか当たり前のように毎月200kmくらい走るような市民ランナーになっていました。
いまは大会でタイムを縮めることで成長を実感して走るモチベーションにしています。
そんなわけで実感できる成長があるというのはランナーにとって走り続けるうえで大きな動機づけとなりうるというのがわたしの感想です。
そして2点目は「達成感を味わえること」です。
わたしはもともと何でも数値化してその変化を分析するのが大好きなのですが、ランニングはそういったわたしの嗜好にめちゃくちゃマッチします。
たとえばタイム、距離、スピード、心拍数、肺活量、体重や体脂肪率の変化などランニングをするだけでさまざまなデータが得られますしそのデータは走るたびにどんどん変化していきます。そういったデータをひとつひとつ分析していくと、自分自身の成長を数値という明確に比較可能なもので表現できることに気づきます。このデータを眺めて「ずいぶん速くなったなー」とか「長い距離を走れるようになったなー」、「体脂肪率減ったなあ」とそのひとつひとつに成長を実感したりするわけですが、数値化すると自然と目標値というのが生まれます。
たとえば今は1kmあたり5分でしか走れないけど4分で走れるようになりたい、42kmを歩かずに走りたい、体重を60kgまで減らしたいとかそんな感じで達成したい数値というのが出てきます。そうなるとその目標を達成するためにはどうしたらいいのか?ということを考えて、そのために練習を組み立てなおしてみたり食事を変えてみたりという努力をするようになるのですが、そうやって努力を一つずつ積み重ねていっていつかその目標を達成したときに得られる達成感がもう半端じゃなく気持ちいいしうれしいのです。
ランニングでこの達成感を一度味わってしまうともう走ることから抜け出せなくなりますし、わたしはまさにこのパターンでいまは走ることにハマっています。
すごい達成感を得られた瞬間っていつなんだろう?と思い返してみたのですが、ハーフで初めて100分を切ったとき(こちら)と初フルを完走したとき(こちら)、あとは10kmで40分を切ったとき(こちら)はもうすごいうれしかったし、その後の走るモチベーションはけた違いに上がりました。
で、いまさらなんですが何で今回こんなことを書こうと思ったのかというと、あれだけ大好きだった走ることに対してさいきんちょっとおっくうだなと思っている自分に気づいてちょっとびっくりしたというかがっかりしたというか、とにかくショックを受けました。
前にもどこかで書いたとおり、去年はわたしのランニング人生の中でもなかなかひどい一年でしたが、9月以降は少しずつ調子を取り戻していてタイムだけ見ればいまが一番速いことは疑いようもありません。10kmとフルの自己ベストを更新したばかりですし、おそらくこれからもどんどんタイムはよくなっていくことは目に見えています。上でわたしが走り続ける理由として挙げた「成長を実感できる」という点については申し分なく満たしている状況のはずなのです。
なのにいまは走ることがあまりおもしろいと思えない。
なんなんだ...。
そうなると、残る理由として考えられるのは「達成感を味わえる」というところが満たされていないという点ですが、達成感ということについてあれこれ考えていたときに去年の11月に出た大田原マラソンのゴール付近で見た光景を思い出しました。
去年の大田原マラソンには以前上司だった人もいっしょに出ていたのですが、わたしがゴールしてから走っている位置を確認したところどうやらゴールは時間制限ぎりぎりになりそうだということが分かったのでゴール付近で応援して待つことにしました。ゴール付近にはわたしと同じように知り合いのゴールを見守ろうという人たちがたくさんいました。
大田原マラソンのことをご存じない方のために簡単に補足すると、大田原マラソンは時間制限が4時間という比較的厳しい大会でしてこの時間制限が人気の一つとなっています。
フルマラソンを4時間以内に完走することを「サブ4」と呼ぶのですが、これがランナーにとってはひとつの勲章のようなものになっています。そして上でも書いたとおり大田原マラソンは時間制限が4時間なので、完走==サブ4ということでサブ4達成を狙う人たちのひとつの目標となっている大会でもあるのです。
そんな大会ですので、4時間に達する直前のゴール付近では応援の声が飛び交っていましたしわたしも自然と大声で応援していました。
まったく知らない人であっても4時間での完走を目指すランナーがそこにいて、あと400mを全力で走れるかどうかで目標達成が左右されるんだと思ったらもう応援せずにはいられませんでした。
3時間58分。
ゴールに駆け込んだランナーはみな安堵した表情を浮かべながら仲間や家族のもとに駆け寄っていきました。
3時間59分。
ラストスパートをかけてゴールしたランナーが倒れこむのが見えました。この日は雨だったので体が冷え切っていたのかそのまま運ばれていく人もいました。
そんな様子をぼーっと眺めていたら後ろから急に泣き声が聞こえてきて思わず振り返ったのですが、どうやらぎりぎりでゴールした人たちがそのうれしさのあまりみんなで泣いているようでした。目標を立てて努力して達成してみんなでうれし泣きをする。これはもう青春だな!とわたしもうれしくてもらい泣きしそうになりました。雨がひどかったので泣いてもバレなかったと思いますがなんとなく我慢しました。
そんなことをしてたら上司のゴールを見逃しました(笑)*2
そしてふと後ろの時計を見たら時間はもう4時間を超えていました。
わたしは一昨年の大田原マラソンでは足がつって走れなくなり4時間4分でゴールしたのですが、4時間を超えた時計をみたときに2年前の自分の心境について思いをはせずにはいられませんでした。時間内に完走できなかったことがすごい悔しくて家に帰ってシャワーを浴びながら泣いたことを思い出しました。
ああ、そうなのか。いままで達成感といえば目標タイムをクリアすることばかりだったけど、いまのわたしは去年の大田原で制限時間ぎりぎりにゴールしてうれし泣きしていた人たちのように達成したらあんなふうにうれしくて泣きたくなるような目標をほしがっているのかと気づきました。
そんなわけで達成したら人目もはばからずに泣けるくらいの高い目標を立てて達成したいと思うのですが、でもそれがどういう目標なのかがわからなくてほとほと困っています。どういう目標がいいのかはわからないのですが少なくともハーフで90分切るとかサブ3とかそういう数値目標ではないことは間違いないんですけどね....。
じゃあ距離か。100kmか。100kmなのか...。どうなんだろう。
これからも走り続けるモチベーションを保つためにも新しい目標がほしいところです。